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智美ちゃん・27歳・女性・独身のお悩み 友達が幸せそうなのに素直に喜べない自分が嫌いです。 |
仲良くしていた友達の由里子に彼氏ができました。友達なら一緒に喜ばないといけないはずのに、私だけずっと一人ぼっちだったらどうしよう?と急に不安になって、由里子との関係がギクシャクしてしまいました… |
あらあら、智美ちゃん、随分と心の余裕を失ってしまいましたね。乱暴な言葉を親友に投げかけたことで、後悔の気持ちが沸き起こり、さらに消極的な思考になってしまっています。
しかし、大事な親友をこんな形で失ってしまっていいのでしょうか。本当なら幸せを喜んであげたい、そんな思いがあるんだと思います。
このような言動に出てしまった原因には、智美ちゃんの様々な「思考の癖」が反映されていることが考えられます。その点を少しずつ紐解いていく必要がありそうですね。
あなたには自尊心がありますか?
人間は誰しも心に余裕がないと、普段なら理性で抑えられるような言葉や行動も、抑えきれなくなって爆発させてしまうことは当然あります。
例えば、仕事の締め切りが迫っていてあまりの忙しさにいっぱいいっぱいになっている時には、普段なら平気に思えるお隣さんのちょっとした雑談に対してもイライラしてしまったりしませんか?
あるいは、朝の通勤で余裕を持って家を出た時には混雑も受け流すことができるけど、遅刻しそうになって余裕がない時には、混雑で前に進まない事にイライラしませんか?
シチュエーションそのものは変わっていないのに、心に余裕がないだけで、こうもイライラや落ち込みは簡単に変化してしまうものなのです。
この物語では、智美ちゃんは由里子ちゃんに彼氏ができたことで心の余裕を失ってしまっていますね。由里子ちゃんも今まで彼氏がいなかった事で自分と同じ状態であり、自分一人が取り残されているわけではないという安心感を智美ちゃんは勝手に持っていたのです。
それが由里子ちゃんに彼氏ができたことによって、取り残されてしまったという危機感が募ってしまいました。そんな状態なので、なんの悪気もない親友に対して怒りをぶつけてしまい、後悔しているようです。
このような現象は、自尊心を高く持てない人ほど、起こりやすい現象と言えます。自尊心とは、自分自身の価値をきちんと評価できる態度のことを言います。
自尊心の高い人は、自分単体で幸せを感じる事ができます。仕事を頑張っている自分、趣味に没頭している自分、努力して成果を出している自分を心が受け入れて、きちんと自分自身で自分を評価できるので、周りの人の状況が変わったとしても、根本的な幸せを感じられるのです。
反対に、自尊心が高く持てない人は自分に価値を見出しにくく、結果的に自分には価値がないと思いがちになります。そのため、周りと自分を比較して、周りが自分と同じくらい幸せでない方が安心していられるので、周りが自分よりも幸せになっていくだけで自分の価値が下がっていき、心の余裕がどんどん失われてしまうのです。
その結果、卑屈になってしまったり、嫉妬や自信のなさから相手を攻撃してしまったりするのです。
「事実」と「思い込み」の関連性を見直そう
智美ちゃんが心の余裕を失ってしまったのには、自尊心を高く持てない人であるという事が言えます。
これは「一生独りぼっちだ」という考えや、「友達にも見捨てられ」「彼氏もできない人生だ」という思い込みからも読み取る事ができます。起きた出来事というのは「由里子に彼氏ができた」という、いわば自分の人生にはほとんど直接的に影響を与えない出来事に過ぎないのにも関わらず、智美ちゃんは自分の人生を絶望的に捉えてしまっていますよね。
これこそが、智美ちゃんを苦しめている「思考の癖」なのです。
そこでこれらの思い込み、「思考の癖」を修正していく事が大事になってきます。様々な思い込みがあるので、一つ一つ時間をかけて丁寧に修正していく必要がありますが、まずは簡単に取り組めるものから行動を起こしてみることを提案したいと思います!
気持ちをできるだけ素直に率直に伝える
もし、智美ちゃんがこのまま本気で由里子ちゃんと仲違いしようと思っていないのだとしたら、二人の関係修復を優先したいですね。
そして自分は「どうせ友達に見捨てられる人生だ」という確信に近い「思考の癖」の修正も図りたいところ。とても勇気のいることかもしれませんが、少し冷却期間を経てもいいので、「きちんと由里子ちゃんと向き合って話をする」という行動を起こしてほしいと思います。
「由里子ちゃんは、口を聞いてくれないかもしれない」という不安があるとしたら、周りから由里子ちゃんの様子を聞いてみてもいいのではないでしょうか。お互いに向き合えるちょうどいいタイミングというものがあるので、その機会を待ってもいいと思いますよ。
伝えられる言葉はたくさんあると思います。
「この前は、ついカッとなって変なこと言ってしまって、本当にごめんね。自分一人だけ取り残された気持ちになってしまって、つい当たってしまったの」
「本当は心から応援したいという気持ちがあるのに、自分に余裕がないことで、傷つけるようなことを言ってしまって、ごめんね」
「そんな筋合いはないと分かっているのに、羨ましくなって八つ当たりをしてしまって本当にごめん」
「由里子に彼氏ができたことで、私が独りぼっちになってしまうと思って、さみしい気持ちから当たってしまったの。ごめんなさい」
言葉の選び方もとても大切です。
由里子ちゃんが傷ついて、ずっと怒りを抱えている可能性もあるので、それも踏まえて実際に向き合う前にたくさんシミュレーションしておくといいでしょう。
また、何度かに渡って誠意を伝える必要もあるかもしれません。それでも、誠意を込めて向き合えれば、本当の友情は簡単には壊れないはずですよ。
向き合う相手を見極めることも大事
大事なポイントとしては、由里子ちゃんが本当に大事な友達であるかどうかというところ。
由里子ちゃんも同じように、不幸せ仲間としてつるんでいただけの関係だとしたら、「彼氏ができた!」と伝えてきたことはまさに「私の方が先に彼氏できていいでしょ!」と自慢しただけの可能性もあります。
そういう関係だとすると、これは要注意です。関係の修復を図ろうとしても、難しい場合があるでしょう。初めからたいして信頼し合える友達でない場合には簡単に友情は壊れるので、「友達に見捨てられる」という思いをするのが実際に起きてしまうことになります。
ただ、これは正確に言えば、「初めからたいした友達ではない人と距離をおく」ということに過ぎないので、本当の「友達に見捨てられる」わけではないということを知っておくといいでしょう。
由里子ちゃんが本当にお互いを大事に思い合えている親友であれば、自分が智美ちゃんを傷つけてしまったのではないかと後悔していることもあるかもしれません。
あるいは、智美ちゃんのとった態度に、今頃傷ついているはず。その場合には、しっかり向き合って申し訳ない気持ちを、誠意を持って伝える事が大切です。
このように一つの行動を起こすことで、いくつかの結果が伴うことが予想できます。そして、その行動によって、本当の友達なのかどうかを査定することもできるし、本当の友達ならば簡単に「見捨てられる」ことはないので、間違った「思考の癖」を修正するいい機会になると思います。
「思考の癖」を修正していくための行動は様々ですが、低いハードルからトライしていけるといいですね。自尊心を取り戻す訓練にもなるので、ぜひお勧めしたいと思います!