認知行動療法とは

認知行動療法とは、人の思考の癖、すなわち「認知」の仕方を「行動」によって修正し、自分自身の抱えている悩みや苦しみを軽減していく、あるいは解決していく心理療法です。

人それぞれが持つ固有のものの見方を心理学では「認知」と呼びます。その個人に固有のものの見方が、時としてその本人を精神的に苦しめている事があります。

例えば、上司からプレゼンテーションの内容を指摘されたとしたら、
認知1:  「注意されてしまった。自分はなんてダメなんだ、、、」
認知2:  「上司は、自分のことを嫌っているに違いない、、、」
認知3:  「きちんと指摘してもらったことで、本番で恥をかかずに済んでありがたい!」

と、それぞれ違う認知を起こすということです。個人によって、一つの出来事からこんなにも様々な「認知」がされるということです。そして、これらの「認知」は無意識に行われており、自分自身でもなかなか気づいていなかったりするものです。

起きた出来事が同じであっても、このように「認知」の仕方の違いによって人は落ち込んだり、怒りを覚えたり、不安になったりするものです。それらのパターンを変えていく事で、この落ち込みや不安、怒りを軽減させていく、あるいはなくしていくことが必要になってきます。「認知」を細かく分析していき、無意識に持っている「認知」のパターンを自覚、認識していくところから、認知行動療法は始まります。

次に、その認知のパターンを修正していくための「行動」を起こしていきます。この「行動」というのは、普段のパターン化された行動ではない、新しい「行動」ということです。その行動をとったことによって、どのように状況が変わっていったか、またどのように自身の感情と認知が変化していったかを検証していきます。

この「認知」を「行動」によって修正していき、検証を繰り返して、より適応的な認知と行動を新たなパターンにしていくことが、認知行動療法のゴールです。

認知行動療法は、様々な療法や理論を背景に発展してきました。現在は、アメリカやイギリスでうつや不安障害の治療の第一選択となっています。また「第3世代の認知行動療法」と言われている比較的新しい流れがあり、ヨーガ瞑想などを取り入れているマインドフルネスストレス低減法や、あるがままを受け入れていくアクセプタンス&コミットメントセラピーなどが含まれます。これら最新の認知行動療法は、東洋的な思想が強く反映されていて、私たちにもとても親和性のある治療法と言えるでしょう。